実家を相続・空き家どうする?売る・貸す・残すの判断基準と2026年の期限【控除は2027年末まで】
親から実家を相続したものの、誰も住まず空き家のまま――。「売るべきか、貸すべきか、それとも残すべきか」で手が止まっている人は多いはずです。結論から言うと、迷って放置するのが一番損になりやすい、というのが現在の制度の方向性です。この記事では、宅建士の視点で「売る・貸す・残す・解体」の判断基準と、2026年時点で押さえておくべき期限・税制を整理します。※税制は改正される見込みがあり、最終判断は税理士・税務署への確認を前提にしてください。
まず知るべき「放置が一番危ない」3つの理由
実家を空き家のまま放置すると、主に次の3つの不利益が重なっていきます。
- 固定資産税が最大6倍になる見込み:管理が行き届かず「管理不全空き家」「特定空き家」に指定されると、住宅用地の軽減特例が外れ、土地の固定資産税が最大約6倍になるとされています。
- 相続登記の義務化による過料リスク:2024年4月から相続登記が義務化され、正当な理由なく期限内に登記しないと過料の対象になる見込みです。名義が親のままだと売却も賃貸もできません。
- 節税特例の期限切れ:後述する「空き家の3,000万円特別控除」には期限があり、使い逃すと税負担が数百万円単位で変わることもあります。
つまり「とりあえず様子見」は、毎年の維持費に加えて税制面でもじわじわ損をする選択になりやすいのです。
売る・貸す・残す・解体――4つの選択肢の向き・不向き
どれが正解かは物件次第です。目安を整理します(費用・期間は一般的な見込み)。
① 売る(売却)
駅徒歩圏など需要のあるエリア、今後使う予定がない場合に向きます。初期費用は片付け10〜30万円+仲介手数料、売却までの期間は3〜6か月が目安。後述の控除を使える可能性があるのが最大のメリットです。
② 貸す(賃貸)
建物が健全で賃貸需要がある立地向き。リフォーム費用50〜300万円程度、募集〜入居まで2〜4か月が目安です。手放さず収入を得られますが、空室・修繕・管理の手間とリスクを負います。
③ 残す(保有・管理)
将来子世代が使う、思い入れがあるなどの場合。ただし固定資産税・火災保険・最低限の管理費が毎年かかり続けます。「使う人がいるか」が最大の分かれ目です。
④ 解体して土地活用・売却
建物が老朽化し活用が難しい場合。解体費は木造戸建てで100〜200万円程度が目安ですが、更地にすると住宅用地特例が外れ土地の固定資産税が上がる点に注意が必要です。
「空き家の3,000万円特別控除」は2027年末まで(延長の見込み)
売却を選ぶなら絶対に押さえたいのが、相続した空き家を売ったときの譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。適用期限は2027年(令和9年)12月31日までの売却に延長されている見込みです。主な要件は次の通り。
- 1981年5月31日以前に建築された家屋であること
- 区分所有建物登記された建物(マンション等)でないこと
- 相続開始の直前に、亡くなった方以外に居住者がいなかったこと
- 売却代金が1億円以下であること
- 譲渡時に一定の耐震基準を満たすか、売却までに建物を取り壊すこと
さらに2つの期限を同時に満たす必要があります。①相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、②特例の適用期限2027年末まで、の両方です。また令和6年(2024年)以降の譲渡で、家屋と敷地を相続した相続人が3人以上だと控除上限が2,000万円に縮小、2人以下は最大3,000万円のままとされています。
いずれも現時点の情報に基づく見込みで、細かな要件判定は市区町村の確認書発行や税理士の確認が前提です。「売るなら早いほど選択肢が広い」ことは覚えておいて損はありません。
迷ったときの判断チェックリスト
次の4点に答えると方向性が見えてきます。
- 今後、その実家を使う人がいるか(いない→売却・賃貸が軸)
- 空き家として管理を続けられるか(無理→早期売却)
- 貸した場合に収支が合いそうか(リフォーム費を回収できる見込みか)
- 現在の状態で売却できる可能性があるか(立地・築年・需要)
「使う人がいない×管理も難しい」なら、控除の期限がある今のうちに売却を検討する価値が高い、というのが一般的なセオリーです。
まとめ
実家の空き家は「売る・貸す・残す・解体」のどれにも向き不向きがあり、唯一の正解はありません。ただし共通して言えるのは、放置は固定資産税・過料・控除期限の3方向で損が膨らみやすいこと、そして売却で使える3,000万円控除には2027年末という期限がある見込みだということ。まずは名義(相続登記)を整え、上のチェックリストで方向性を決め、売却を軸にするなら複数社の査定で相場を把握するのが失敗しない順番です。
空き家を手放すと火災保険や固定資産税など「持ち続けるコスト」が不要になります。逆に残す・貸すと決めたなら、空き家特約や築古向けの火災保険の見直しで、万一の出費に備えつつ保険料のムダを削るのが賢明です。保険は家計の固定費の中でも見直し効果が大きい項目なので、この機会に一度点検しておくと安心です。
よくある質問
相続した実家は、いつまでに売れば税金が軽くなりますか?
「空き家の3,000万円特別控除」を使う場合、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までと、特例の適用期限2027年(令和9年)末までの両方を満たす売却が条件とされる見込みです。早めに動くほど選択肢が広く、安全です。
マンションを相続した場合もこの控除は使えますか?
いいえ、区分所有建物登記された建物(マンション等)は対象外とされています。対象は主に1981年5月31日以前に建てられた戸建てで、亡くなった方だけが住んでいた家が想定されています。最終的な適否は税務署・税理士に確認してください。
兄弟で相続すると控除額は減りますか?
2024年以降の譲渡では、家屋と敷地を相続した相続人が3人以上だと控除上限が1人あたり2,000万円に縮小、2人以下なら最大3,000万円のままとされる見込みです。人数で差が出るため、売却の進め方は事前に話し合っておくと安心です。
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